何のお店か確かめなかったけど、窓ガラスの向こう、干したタオルの横にエゴン・シーレの絵を見つける。 エゴン・シーレは若い頃興味があって、部屋には画集もある。 その本はケースに入ってて。結構高価だった。 今では紙も黄色く変色していることだろうけど、本は財産だからずっと持っておく。 僕の脳裏には、図書室のような空間に身を置いて過ごすという風景が、うっすら浮かんでいる。 まだ暗い夜明けのお店に黄色い灯りが灯っていると、カメラを持った自分は自然と中をのぞくことになる。 おしゃれに完璧にディスプレーされたお店は、それ自体が他人の作品のようなものだから、撮っても僕の写真にはならないので素通りするが、反対に何…