以前から映画「カリガリ博士」(1919年、ドイツ、ロベルト・ヴィーネ監督)が気になっていた。ドイツ映画黎明期のサイレント映画であり、権田保之助が何度も見損ねてやっと観た映画だからである。いろいろと調べたことを以下に掲載する。 ・本作品「カリガリ博士」は1920年代ドイツの映画界で花開いた幻想奇譚というジャンルの要的存在であり、ドイツ表現主義運動とも連動している。 映画史最初の20年間に制作されたその多くが、リミュエール兄弟のスタイルをめざしたものだったとすれば、「カリガリ博士」は様式化された幻想的な劇的効果を多用して現実を誇張、あるいは風刺するジョルジュ・メリエスのスタイルに回帰するものだ。 …