集英社文庫(Amazonより) 【あらすじ】 1970年3月、富士製鐵と八幡製鐵が合併して、巨大企業の新日本製鉄が誕生した。会社国家・日本の代名詞として世界市場へ打って出るが、しばらくして「鉄冷え」の時代を迎える。永らく日本経済を支えてきた鉄の町、北九州市。主人公の佐藤憲治は技術供与のために、愛人と海外に赴任してする。留守を預かる妻由佳は文学サークルで出会った男と知り合い、次第に惹かれながらこの街で暮らしていく。斜陽化していくかつての基幹産業、誇りある鉄鋼マンたちと彼らを取り巻く女性たちを赤裸々に描く。 【感想】 「鉄は国家なり」と呼ばれていた時代があった。戦後間もなく、政府は基幹産業である鉄…