今回は、「更科日記」で詠まれている、萩の葉と笛の音の歌について。 作者の菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は、菅原道真から五代後の子孫だという。 上総介(かずさのすけ)だった父と義母と姉とともに赴任地(いまの千葉県)に下って暮らしていた作者は、1020年、父の任期終了とともに13歳(数え年)で都に戻り、伯母から贈られた「源氏物語」全巻を読み耽る少女時代を送る。 上総で共に暮らした義母は、元々は宮仕えをする女房で、帰京後に父親との夫婦仲が悪化したらしく、離婚して出て行ってしまう。 上総で暮らす間、物語について語り聞かせてくれた義母を、作者は深く慕っていて、離婚後も自分に会いに来て欲しいと手…