児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の無罪判決(大阪地裁r06.4.16) 東京地裁H28、東京高裁H29の流れです。 無罪事件で用いられる文献・判例を紹介しておきます東京地裁のCG事件(東京地裁H28.3.15) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=87027 では、34画像中31画像が無罪になっています。 ↓ 控訴審(東京高裁h29.1.24)で追認 d1law 被告人が、不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する自動の姿態が撮影された画像データを素材として編集した画像データである児童ポルノを製造し、同一のファイルを訴…
児童に対する性犯罪に並行して盗撮行為が行われた場合の児童ポルノ製造罪の罪名について、姿態をとらせて製造罪説に仙台高裁r6.1.23が加わり、3対3で拮抗しました。 仙台高裁の事例は、当初、ひそかに製造罪で起訴され、大阪高裁r5.1.24の影響で姿態をとらせて製造罪に訴因変更され1審判決になったものですが、控訴審でひそかに製造罪が正解じゃないのかという法令適用の誤りが主張されたようです。 (1)姿態をとらせて製造罪説 ①大阪高裁H28.10.26*1(姫路支部h28.5.20*2) ②大阪高裁r05.1.24*3(奈良地裁R04.7.14*4) ③仙台高裁r6.1.23(仙台地裁r5.7.20)…
判例では、「送信させる」はわいせつ行為とされません。 裁判例では、自慰行為させるが伴う場合に送信行為がわいせつと評価されることが多いようです。 大阪高裁r03.7.14*1(京都地裁R3.2.3*2)判決速報 2 なお,前記(3)は,Aに対し,前記ダイレクトメッセージ機能を使用して,その陰部,乳房等を露出した姿態をとって撮影して被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させたという強制わいせつの事実(令和2年8月27日付け起訴状記載の公訴事実第1)と,同要求をし,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させた上,その画像データ2点を被告人のスマートフォンに…
「送信させ」をわいせつ行為とした上で準強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合としたもの(大津地裁r5.10.26 確定) 判示第1は、当初起訴状は、児童ポルノ製造罪のみで、訴因変更で、準強制わいせつ罪が追加されたものです。 公訴事実の同一性がないという高裁判例が山ほどあるので、控訴して訴因変更の違法を主張すべきでした。 さらには、「送信させた」はわいせつ行為ではないという高裁判例も幾つかあるので、そう主張すべきでした。 大津地検で当初起訴状6/5と訴因変更請求書6/26を閲覧して確認しました。 強制わいせつ罪と製造罪は多くの高裁判例で併合罪とされているので、訴因変更許可は違法です。自然確…
裸体を撮影送信させる行為について、高裁レベルでは強要罪説(岡山支部H22.12.15、東京高裁H28.2.19)から、強制わいせつ罪説(大阪高裁R03.7.14)に移りつつあるが、最高裁の判断がない状況。 警察に聞かれましたが、大阪高裁は実刑になっていますが、送信させる型強制わいせつ(リモートわいせつ型)は、量刑が軽めなので、1審と控訴審の未決が多くなっているのと、上告未決が何日もらえるかわからないのとで、上告できていません。 文献番号】 25470943 【文献種別】 判決/広島高等裁判所岡山支部(控訴審) 【裁判年月日】 平成22年12月15日 【事件番号】 平成22年(う)第100号 【…
18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春した事例(京都地裁r05.7.13) 児童買春周旋罪は引き合わせれば既遂。 提供目的製造罪は、数回行われても児童ごとに一罪となっています。 京都地方裁判所 令和05年07月13日 主文 被告人を懲役2年及び罰金200万円に処する。 未決勾留日数中60日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、1万円…
常習性とは行為者の属性と捉えるべきであるから、行為者が当該地方公共団体の区域外であっても、罰則をもって禁止されている違法な行為を繰り返していたという事実があれば、行為者にこの種違法な行為を繰り返す習癖、すなわち常習性を認めることができる。(名古屋地豊橋支判令和5年8月25日) じゃあA県での卑わい行為とB県での卑わい行為を常習一罪にしてもよさそうですね。東京高裁h17はどうする 裁判年月日 平成17年 7月 7日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決 事件番号 平17(う)619号 事件名 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為の防止に関する条例(埼玉県条例)違反、公衆に著しく迷惑をかける暴力的…
理屈としては4項が正解だと思います。間違って5項製造罪にしちゃったときにごまかせるかという問題。大阪高裁r5で原審がエライ怒られてしまいまして。 大阪高裁H28.10.26 4項説 控訴審弁護人は奥村。 大阪高裁r5.1.24 4項説 控訴審弁護人は奥村。 東京高裁r5.3.30 5項説 控訴審弁護人は奥村。 東京高裁r5.6.16 5項説 大阪高裁r5.7.27 5項説 上告中 大阪高裁R5.9.28 5項説 控訴審弁護人は奥村。上告中 寝ている児童をスマホを構えて撮影するのは「ひそかに」とは言えないと思いますが。 強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護…
「自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、」「 誘拐して同人と性交等しようと考え」というわいせつ目的誘拐罪と、青少年条例違反(淫行)は牽連犯だが、誘拐罪と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪とは併合罪とした事例(横浜地方裁判所令和5年8月29日) わいせつ誘拐罪の「わいせつ」は、刑法176条のわいせつよりも広い概念で、売春させる目的なども含みます。 青少年条例の関係でも、裸体撮影行為はわいせつ行為です。 山口地裁h21.2.4は、わいせつ誘拐と製造罪を牽連犯とします。 東京高裁r5.10.12は、侵入と製造罪について、犯人の主観面で目的手段の結果であることを重…
就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20) 裁判所も気付かずひそかに製造罪で審理していたところ、大阪高裁r5.1.24が回覧されて、修正されたもよう。 提供 TKC 【文献番号】 25596042 【文献種別】 判決/仙台地方裁判所(第一審) 【裁判年月日】 令和 5年 7月20日 【事件名】 強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、準強制わいせつ被告事件 【裁判結果】 …
就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20) 裁判所も気付かずひそかに製造罪で審理していたところ、大阪高裁r5.1.24が回覧されて、修正されたもよう。 提供 TKC 【文献番号】 25596042 【文献種別】 判決/仙台地方裁判所(第一審) 【裁判年月日】 令和 5年 7月20日 【事件名】 強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、準強制わいせつ被告事件 【裁判結果】 …