絵のすばらしくうまい人でも、なぜ、絵がよくないかというと、詩人でないからです。詩の心がないんです。(中略)いくらか絵がうまい人よりも、その感性の部分が優れているほうが絵はいいんですよ。(中略)根本的には詩人の魂がなければならないんです。 このやなせたかしの言葉は、葉祥明との対談からの抜粋である(1990年)。 画家のルソーに関連する話題で出てきた言葉であるが、やなせ自身のことを言っているようでもある。 わたしは、このことばに大変共鳴する。 いわゆる「詩情」を持ち合わせていないと、絵にしてもなんにしても、テクニックは最上級で申し分ないが、どこか味気ない、あるいは非常に下卑たものに成り下がっている…