あいも変わらず村上春樹のことを考えている。 今日は『一人称単数』の中の「謝肉祭(Carnaval)」に出てくる男に対して物申したい。 この「謝肉祭(Carnaval)」という短編、「彼女は、これまで僕が知り合った中でもっとも醜い女性だったーーというのはおそらく公正な表現ではないだろう。彼女より醜い容貌を持つ女性は、実際には他にたくさんいたはずだから。」という書き出しだけでもう胸のざわざわが収まらない。 語り手の男は大学生の時にダブルデートをしたのだが、相手側の女の1人が「醜いとまでは言わないけれど、あまり容姿がぱっとしない女の子」だった。ダブルデートの途中で1組ずつに分かれて、普通のデートをす…