著者:佐藤究出版社:河出書房新社 戦闘機に魅了された少年は一途に夢を追い求め、 自衛隊で天才パイロットとなるも思わぬ挫折で日本を離れる。 護国、仏教などに関する思考を重ねつつ、戦闘機への自分の気持ちに逆らわず、 冷静かつ忠実に行動する様は終始展開が読めないまま進行する。 虚無感を纏う主人公と文体から伝わる緊張感は最後まで持続され、 読後、ブルーバックとGをかけたような題名が融合しようとしているように見える 表紙を眺めながらしばらく余韻に浸っていた。 「テスカトリポカ」のようなハードな描写は無いが無機質な文体でありながら 青白い熱が伝わって来た。 あとがきには三島由紀夫をモチーフにした、とある。…