谷戸。谷地。響きが良い。何か惹かれるものがある。 丘陵地から複数の枝尾根が発生する。その間にはいつしか水が湧き、谷が形成される。沢の誕生。深山ならばそれは深い谷になりやがて大きな川になる。神奈川県の下末吉台地や東京都の境、多摩丘陵あたりでは、ちいさな流れはゆったりと平地に入る。そして豊かな土地が広がっていく。下流側から見ると広い谷がゆるやかに狭くなり、そしてみるみる小さな森と丘に囲まれる。これが谷戸地形・谷地地形。 何故谷戸に惹かれるのか。洞窟探検でもないが、大きな間口から深い奥行きを見るならば誰しもそれを探ってみたくなるのではないか。水があり、奥行きある谷間。その思いはある種の「母体回帰」か…