ウェーバー『職業としての政治』参照。
かつてマックス・ウェーバーという社会学者が心情倫理と責任倫理とを区別した。前者は自らの心情に忠実に行動する倫理であり、後者は自らの行動の影響を考慮して行動する倫理である。前者においては心情の純粋さの程度で倫理性の程度が左右され、後者においては行動の結果への配慮の程度で倫理性の程度が左右される。この2つの倫理を区別したウェーバーは、政治家に求められるのは心情倫理ではなく責任倫理だと言っている。政治家にはなぜ責任倫理が求められるかと言うと、彼が心情の赴くままに行動すれば、その行動の影響が普通人よりもはるかに広い範囲に及ぶからだ。それゆえ政治家は自らの心情の表出に禁欲的でなければならないのである。そうでないと国民に迷惑が及ぶ。