最近志怪小説を読むのが好きなのですが、中でもお気に入りの作品である紀昀『閲微草堂筆記』で心に残った文章があるのでまずは引用したいと思います。「(前略)貴ぶべきものが自分の内部にそなわっていれば、外に現れたものは問題にならないからだ。 もし、外に現れたものによって軽重を定めなければいけないとすると、人が自分を尊敬するのを待って自分の名誉が得られ、人が自分を尊敬しなければ、自分は侮辱されたことになる。 それでは下男や下女までがすべて自分の栄辱を左右することになるわけで、あまりにも自己そのものを軽く見た考え方ではあるまいか」紀昀・作 前野直彬・訳『中国古典文学大系 42 閲微草堂筆記』平凡社 197…