幸福はあるとおもえばあるし、ないとおもえばない。あたるも八卦、あたらぬも八卦、まるでこんにゃく問答だ。 *** 何か足りない、ありすぎる、などと公言するのは、ほんとうははずかしいことである。ついつい、まわりのせいにしてしまいがちになるので、口にしてもいいことはあまりない。 しあわせは多くの場合ないものねだりであり、われわれがこころに描くまぼろしにすぎない。それでも追いかけないと気がすまないというのだから、まるで病気である。 そうしたまぼろしは、こちらが追いかければ、それにつれて逃げ足をはやめ、さらに遠ざかっていく。したがって、幸福を追うことは、それじたいが目標であり成果とならざるを得なくなるよ…