♬ はるの うららの すみだがわ のぼり下りの ふなびとが かいの しずくも 花とちる ながめを 何に たとぉべき ♪ (花:竹島羽衣作詞・滝廉太郎作曲) わたしが通っていた高校は、地方都市の住宅街にあった。 最寄り駅から歩いて、およそ15分で正門前にたどり着く。 春はその通学路がさくら花で片トンネルの道となる。 なぜ片トンネルかというと、疎水があってその疎水沿いに桜の木が何十本と植えられ、その桜のそばに3メートルほどの舗装された歩道があるからである。 私は、春のこのさくら道を歩くのが好きであった。 なにやら、学校へゆきながら、花見をしている気分になるのである。 わが高校は戦前までは女学校で、…