さてまず①の「 サムライが築いた」の意味するところを考えてみたい。 言い換えると中近世移行期における「侍」とは何かという問題である。様々な意味で使われるため一言で説明することは困難であるし無意味でもあり、結局史料の文脈ごとに個別に判断せざるを得ないのだが、すくなくともつねに「侍=武士」という等式が成り立つわけではないことだけは確かである。豊臣・徳川政権の法令に現れる「侍」に限れば、平時は郷村にあって戦時は戦闘員として合戦に臨む「奉公人」のことと理解されており、特定の主家に代々仕える譜代の被官=武家ではない。 譜代の被官はこの時期多くは「給人」と呼ばれている。本番組は「サムライ」を給人の意味で用…