下村敦史 「逆転正義」下村さんの新刊が出ていたので買ってみました。 正義感をテーマにした短編集となります。日常生活やSNSの中で行き過ぎた正義感によって炎上やトラブルにつながることがよく見られるようになったことに対しての警笛として本書が描かれているように読み取れました。いじめの主犯者の個人情報を晒す、犯罪者の子供を攻撃しても許される、などといったテーマの章があり、どの章でも自分が正義だと信じて疑わない人たちが現れます。作中では正義を執行する正当性が一見あるかのような背景があるのですが、それを理由に攻撃する周囲の人たちの描写は「この行いは本当に正しいのか?」とつい考えてしまうようなものになってい…