今のところに引っ越して隣人I女と隣り合わせの短い時間がありました。I女は方足を失い、週三回透析をしている女性でした。たぶん当時50代と思われ、いつもきちんとお化粧され車椅子で精工な赤ちゃん人形と一緒でした。ご自分の部屋を見せたがらず、室外で会話したりしていました。 私は美味しいトマトがあったりすると持って行ったり、茨木のり子の詩集を貸したりしていたのです。初めの頃介護者だけしか入室できないのが訳がわからなかったのです。個室は車いすの道のりに沿って、直ぐに物が使えるように積み重ねられていました。その雑然さは彼女の利便さによるものでした。 最期まで何人かの介助者に世話になり、お一人で生活され3年前…