二十三階の夜 (曽野綾子著 1999年 河出書房) 曽野綾子の小説やエッセイにはほとんど触れたことはなかった。高校生の頃に読んだのは「太郎物語」だった。曽野氏の息子・太郎氏がモデルなのだろうか。名古屋の大学に入学、始まった太郎の一人住まい生活とその風景、大学生活を通じて得ていく自己。母親(曾野氏であろう)の目線や太郎の目線を絡ませながら書かれた風景は明るい読後感で、好きな書だった。かつて自分の両親が転勤で住んでいた名古屋と言う街への興味も湧いたが、なによりも自分自身が当時は大学進学も決まり落ち着いた時期だった。親は転勤族だったので自分の大学生活は一人住まいだ。自分にも来るであろう近未来の生活を…