踏切に近づくと、警報機が鳴り始めた。 車も歩行者も止まる。やがて、遮断機が降りる。列車が通過するのをじっと待つ。 子どもの頃は、この時間がやたら長いことがあった。気のせいではない。今ではほとんど見なくなったが、当時は田舎の踏切でも長い貨物列車が走っていたのだ。踏切で待つ時、否、待たされる時、大抵、通る列車が何両編成なのか数えていて、最長が16両編成だったことも記憶している。正しく数えられた自信はないが、とにかく、一目で何両なのかわからない程に長かったのは確かだ。 実際、どれくらいの時間がかかったのかは不明だが、今の時代、新幹線ならともかく、田舎に長い列車は走っておらず、測ることもできない。おそ…