山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(25) 今回は、第3章 二つの遺伝子 第2節 分子生物学における遺伝子概念の展開 の続き(p.130~)である。 分子生物学における遺伝子概念(続) デルブリュック*1をはじめとする初期の情報学派の研究者たちは、同時代の生化学的遺伝学の研究を無視した。 彼は、遺伝現象の本質は、遺伝子と形質の関係にあるのではなく、遺伝子の自己複製であると考え、それを示す最も単純な系としてファージに着目した。 「本質」という言葉は便利な言葉ではあるが、何を「本質」と考えるかは人によって異なるだろう。「遺伝現象の本質は、遺伝子の自己複製である」と言っても、何故そう考…