量子化学計算は特に指定しなければ、通常は真空状態下での分子の状態が計算されます。ただ通常有機化合物は化学反応や各種物性測定を行う場合に溶媒に溶解させて行うことが一般的です。溶媒効果を考慮することは、実験に近い精度で分子のエネルギー、反応機構、物理化学的性質を理解するために不可欠で、量子化学計算を溶液中での現象に適用することで、実際の化学環境に即したより現実的な結果を得ることが可能になります。今回はpyscfでの溶媒効果の計算方法について紹介したいと思います。 PySCFではthe PCM (polarizable continuum model), ddCOSMO (domain-decomp…