1952年(昭27)11月~1954年(昭29)3月 雑誌「婦人生活」連載 1954年(昭29)和同出版刊。 長谷川幸延(こうえん)(1904~1972)はラジオドラマや映画の脚本家としても知られ、大阪の人情と風俗を描いた小説家である。生涯で7回も直木賞にノミネートされたが受賞を逸した。 実業家の御曹司城木晋は新進画家として認められており、京都の芸妓だったお扶美と同棲していたが、親の政略がらみの結婚をことわりきれず、彼女を絶望のどん底に落としてしまう。しかも彼の子供を身ごもっていたのだ。お扶美はそれまでのあらゆる関係を絶って、出産し、女手一つで生活を切り開いていく。いかに芸術のためとは言いなが…