風蘭さんの書道教室では直接「古隷」を臨書の題材として選ばなかったが、個人的に漢代の磨崖に刻され二千年の風化に耐えた「開通褒斜道刻石」に強く惹かれるものがあり、いろいろと調べたり、試みに自分でも半紙に書いてみたりした。線がとても難しくて面白い、魅力がある。私の愛する中村不折の龍眠帖はここからきているのだろうか。 最初の「開通褒斜道刻石」の印象はジャクソン・ポロックの抽象画を見ているようだった。ぞわぞわからゾクゾクへ。テキストに掲載された「開通褒斜道刻石」をしばらく眺めていると不思議な感動が押し寄せてきた。地と図がともに溶け出したような、それでいて石に刻まれるほどのメッセージがあり、そしてデザイン…