2003年に母が他界して以来、実に20年、一人で暮らし書道教室も一人で続けていた父も2年半前の夏、ついに介護施設に入りました。その後、父の認知症は進み、 今朝いただいたばかりの朝食も忘れ、 「まだ何も食べさせてもらってない、腹減った!」と、いつもこぼしていたようです。 ところが施設の近くに住んでおり、父の世話をしてくれていた妹が、面会時に、私の書作品を見せると認知症とは思えないレベルで添削の能書きが始まるということでした。私自身も帰国時に施設の面会所で父から書の添削を直にもらうこともできました。父の人生の大半を占めていた書道と父の周りを取り囲んでいた家族、書道のお弟子さん、知人は、ドイツ人の私…