三月十日 この付近は我々が着く前に第九師団が苦戦した所で、今尚敵は桃家屯付近(約四千米南東)に居り堅固な陣地に立て籠っている。我々の任務はこれらの敵を撃破し第三軍を援助する事である。午前二時 大石橋東南端、街道寄りの畑地に肩墻を構築し、工事を終り攻撃を始め様としていた午前七時頃 突然一発、又一発と第三弾は工事がまだ終っていない第二中隊第一小隊の列線に着弾した。この為に戦友中村砲兵少尉は名誉の戦死をした。これは約二千米離れた所の釣鐘屯という所に陣地を占めていた約一個中隊の敵砲兵の砲撃であったとの事だった。 我々は山砲のみで応戦した。敵は約一時間許り砲撃していたが午後二時頃になると退却を始めた様で…