雨上がりの翌日は良く晴れていた。玄関のチャイムが鳴った。作業服を着たような若いお兄さんがそこに居た。 「余計なお世話かもしれないですが・・・」そう少しもじもじするのだった。彼は続けた。「ご主人の家の屋根、カサギが外れていますよ」と。数軒隣の建築現場で足場作業をしていたから気が付いた、そんな話だった。 カサギとは何ですかと問うと屋根の一番上にのっている金属の材だという。その片側が捲れているというのだった。このままでは雨漏りしますよ、と続ける。上がって修理しましょうかとでもいうのかと思った。 彼は耳にブルートゥースイヤホンを付けたままだった。自分はまずそれが何処を指すのか理解しようと思った。質問を…