日本を代表する脚本家 橋本忍 77年公開の『八甲田山』は、新田次郎の小説を原作に、明治の雪中軍事訓練で210人中199人が犠牲になった歴史的山岳遭難事件を描いた映画。脚本と製作は、2018年に100歳で亡くなられた名シナリオライター橋本忍。監督は“黒澤組”でチーフ助監督を務め、橋本とも盟友だった森谷司郎。 黒澤明監督『羅生門』や『七人の侍』などの共同シナリオで有名な橋本だが、黒澤から離れたあとも骨太の人間ドラマを書いてヒット作を生み続け、日本を代表する脚本家として認められるようになっていた。そして73年には映画製作会社『橋本プロダクション』を立ち上げ、松本清張の『砂の器』を映画化、並程度の原作…