世界一短い手紙のやりとりをご存じでしょうか。「?」への返信が「!」というもので、もはや言葉は不必要、記号のみで十分に用が足りています。 これは、ヴィクトル・ユゴーが旅行先から出版社に向けて「新作の評判は?」と尋ねたのに対して、出版社から「すばらしい!」と答えたものだそうです。文豪は取材に対応するのがうっとうしいから旅行に出ており、出版社も「レ・ミゼラブル」のこと以外で連絡されるはずはないと心得ています。記号だけのやりとりでも意味を取り違えることなどない、相互理解という下敷きがあれば、たった二つの記号の交換で意図が明確に伝わるという、極めてまれな事例でした。 ところが、今の世の中では全然まれでは…