アニメーター。アニメーション監督。「青木雄三」と同一人物。
様々なペンネームを使うことがあり、「シティーハンター」では「港野洋介」という名前で参加していた。独自の感性によるリアリティを誇張した演出、作画に定評があり、特に「ルパン三世」「シティーハンター」シリーズでの功績が光る。東京ムービー時代から青木と共に数多くの仕事をしてきたこだま兼嗣(児玉兼嗣)は、青木を慕う内容のコメント幾つかを雑誌に寄せているほどである。
実際のところ視聴率の良かった新ルパンでは作画枚数に制限がなく、上手いアニメーターたちが積極的に参加していました。青木悠三さんや、OHプロの友永和秀さん、丹内司さんなどの仕事には勉強させられることばかりでした。特にオープンエンドを担当した青木さんからは、レイアウトなど多くのことを学びました。
(別冊宝島737『完全保存版 ルパン三世 PERFECT BOOK』P.132 こだま兼嗣インタビューより)
アニメ制作会社・Aプロダクションに入社。卓越した画力で近藤喜文、小林治などと肩を並べ、同期の本多敏行からは「天才」と評され、大御所・大塚康生からは「天才中の天才」と太鼓判を押されたほど。当時ルパンの愛車である「ベンツSSK」をまともに描けたのは、大塚康生と青木悠三だけだったらしい。
原画試験では、跳び箱と、ルパンのガンアクションと女の子が石を持ち上げるというのがありました。同時に試験を受けた青木悠三さん(『ルパン三世PARTIII』キャラクターデザイン)は天才で、ルパンが岩に隠れてバンバン打つすごくかっこいいガンアクションをあっという間に仕上げて。
「有難うございます。参りました」という意味で、感心させられる仕事をした特定のアニメ−ター(近藤喜文、青木悠三さんなど)のカットに押したもの。ただし作品の統一上、顔やタイミングには遠慮なく手を加えていましたが・・・
『ルパン三世』においては、19歳の若さで参加したらしい。石川五右ェ門が初登場した「十三代五ヱ門登場」では、高速道路でのルパンと五右ェ門の対決をはじめ、シリーズを通してファンにとって印象に残る数々の場面を担当。『新ルパン三世』では浦沢義雄とタッグを組んだ「ブロードウェイシリーズ」や、104話から155話までのオープニングなどが有名。五右ェ門の印象を大きく決定付ける「ビル斬り」を最初にオープニングで演出したのも青木である。そして、同時期に公開された劇場用作品『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では作画監督を務め、巨大なコンボイとのカーチェイスシーンを迫力ある構図で描いた。
『新ルパン三世』でコンテを切る際には台本に無いセリフを加えたり、また台本のセリフを切るなど作品にアレンジを施し、「マイアミ銀行襲撃記念日」では青木自身が浦沢義雄の脚本を改変しラストシーンを付け加えた*1。この作品で数多くのタッグを組んだ浦沢義雄の脚本に対して青木は「80年代のルパンを作るための試作品」を生み出したことへの才能を感じ取っていたようだ。そして青木自らも、「大塚・宮崎路線のヨーロッパ調のルパンから、ニューヨークの都会派ルパンが出てきた。僕のシリーズでは、都会のルパンしか作りたくなかった。ルパンは都会の闇に動く。シルエットのビルとネオンサイン……その中をうごめくのがルパンだと思う」と、当時ルパンの行く末に対し明確な方向性を位置付けた発言を行っている。
そして『ルパン三世PARTIII』においては、キャラクターデザイン、作画監修、演出など作品の中心人物として、主に前述の方向性を縦糸としながら製作を進めていった。ルパンのジャケットがピンクなのは、当初予定と持ち上がっていた白と、原作の赤とを議論していた際に出た青木悠三の提案と言われている。同時期に公開された劇場用作品『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』では、それまで企画として上がっていた押井守による劇場用作品案が棄却された穴を短期間で埋めることとなり、テレビシリーズと並行してレイアウトと作画監督を急ピッチで進め完成に漕ぎ着けた。『バビロンの黄金伝説』には、「バッキンガム*2のような暗黒街の連中がいっぱい出てきて、みんな苦労していながらも、ジャズっぽい笑顔で日々暮らしている」という青木のコンセプトが活かされており、モンスターズカフェのサムやその他ルパンと銭形のバイクチェイスに興奮する連中など、暗黒街の明るい面々が多少なりとも描かれている。
これらの功績により、今日続くテレビスペシャルにまで今もなお強い影響を与え続けるアニメーターとして認識されているのだが、青木本人は『ルパン三世PARTIII』『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』以降のルパン三世シリーズには参加をしておらず、また関連するインタビューなどにも一切応じていない。
ルパン三世シリーズのメインスタッフによって作られた「シティーハンター」では、監督であるこだま兼嗣の補佐的な役割として「港野洋介」名義で絵コンテと構成を中心に担当。第一シリーズでは中盤までのオープニングアニメーションとエンディングアニメーションを作り上げ、「愛よ消えないで」「GET WILD」といった名曲と共に作品世界を盛り上げた。また、明貴美加がデザインしたメカの修正なども担当。明貴によってデザインされた冴羽の愛車「ミニ・クーパー」などの設定を新たに描き起こすなどの作業も担当した。
近年では再び「青木雄三」の名前で活動しており、バラエティー番組「明石家さんちゃんねる」のオープニングアニメーションも担当している。