本書は日本最古の正史である『日本書紀』を音韻・語法分析を駆使して二つの群に区分し,成立過程を解明した。『日本書紀』の執筆者の性格,巻ごとの成立順序,後人による加筆の実態といったことが極めて強い説得力をもって明かされる。膨大な『書紀』に関する先行研究を整理した上で,著者は漢字音という観点から『書紀』30巻を二つに大きく区分する。その結果巻三〇以外の『書紀』29巻はα群,β群の二つに分けられ,α群は中国人渡来1世によって執筆されたという驚くべき結論を得る。 第1章 書紀研究論 第2章 書紀音韻論 第3章 書紀文章論 第4章 書紀編集論