自分の中で佐伯一麦さんの存在が大きくなってきた。何か読みたいと思って探したのがこの本。文庫化された本があまり書店になく(講談社文芸文庫は高い!)、Kindleで探した。購入したときは399円だったが、今現在は1319円になっている。ここらへんの値段設定ははよく分からない。 前に読んだ「空にみずうみ」でもたびたび出てきたが、佐伯さんは、電気工時代にアスベスト被害で喘息に苦しみながら作家生活を続けている。自らの「肉体的欠損感覚」を端緒に、さまざまな「欠損感覚」を持つ人に出会うという連作小説になっている。私小説なので、いずれも実際にあったことがベースになっていると思われる。ノンフィクションのように読…