諜報密偵云々がらみで想起した。 福澤諭吉のことである。 彼の家には忍者屋敷みたような、特殊な仕掛けがあったのを。―― (Wikipediaより、甲賀流忍術屋敷) 順を追って話すとしよう。 彼には敵が多かった。 楠公権助論に象徴される歯に衣着せぬ物言いで、壮士どもの怨念をずいぶん萃(あつ)めてしまったらしい。手っ取り早く現代式な言い回しを用いれば、雲霞の如きアンチの群れに粘着された状態、か。 この「蟲ども」の大半は、極めて自然な感情経路に基いて、福澤諭吉が地上から消滅することを望んだ。 あの野郎死ね、ということである。 否、そればかりでは止まらない。 ネットの海に罵詈雑言を垂れ流すのが精々な昨今…