え、又これやるのですか…。そう口にした。しかし実はまたできることが嬉しかった。以前これをやった時は楽しくて仕方が無かったのだ。初めは悔しかった。思うように頭の中で視覚と短期記憶そして手指の動き、そんな信号線がつながらないのだった。しかしそれは最初の数度だけだった。回を重ねると断絶されていた回路もつながり電気信号が通ってくる。すると相手も手ごわい。ますます難しいお題が来るのだった。 脳はふだんその存在を意識しない。考え事をして、あるいは無意識に、脳の指示が初めにある。手を動かし足を動かくすのも、果たして呼吸をするのも、すべては脳のお陰だろう。頭蓋骨の中に在る1300グラム程度の蛋白質と脂質の塊が…