多くの外国人の姿が見られる東京駅八重洲口のタクシー乗り場 わが町の魅力を、外から来た人に教わることは珍しくない。「日本は汲(く)めども尽きぬ何かを持った、意外性の国」。明治17年に初来日した米地理学者のエリザ・シドモアは、江戸の遺風を残す庶民の暮らしにそんな所感を残した。 ▼茶器、火鉢、盆栽。彼女には、それらが「舞台用の美術」に見えたらしい。維新前後に来日した外国人の手記を読み解き、彼らの目に映る日本を描いた近代史家の渡辺京二さんも言う。「私はひとつの異文化としての古き日本に、彼ら同様魅了された」(『逝きし世の面影』)。 ▼政府発表によれば3月の訪日客は約308万人、コロナ禍前の令和元年7月を…