小さかった頃、寝る前に親に本をよんでもらうのが楽しみだった。 今でも覚えているのは蚕子姫という起承転結のないお話でお転婆なお姫様の遊び相手は蚕子だったというそんなお話。 イモムシみたいなお蚕さんを大切に可愛がるお姫様が不思議だった。 私の両親は茨城県の出身で昔の関東平野は養蚕のために桑畑ばかりだったようだ。 父方の祖父は繭市場の相場師だったと聞いている。 父が小さな頃はお蚕さんはおもちゃで養蚕農家の小屋からお蚕さんを一匹拝借してポケットにいれていたという。 お蚕さんの住む小屋からはひねもす、桑の葉を食べるお蚕さんのサクサクという元気の良い音が聞こえてくるらしい。 絹を造るお蚕さんだけあってポッ…