農耕・牧畜が生みだした〈余剰〉の力は、人間生活に劇的な変化をもたらした。それは、社会編成にも現われた。それについて、以下、『昨日までの世界』から長い引用・紹介をする。 ジャレド・ダイアモンドは、「エルマン・サービスが人口規模の拡大、政治の中央集権化、社会成層の進度によって分類した、人間社会の四つのカテゴリーを折に触れて使っていく。それはすなわち、小規模血縁集団(バンド)、部族社会(トライブ)、首長制社会(チーフダム)、国家(ステート)である。(中略)これらの用語は人間社会がいかに多様かを論じるにあたって便利な、略式のものだ」と言う。 「もっとも小規模で単純な社会は、数十人だけで構成され、ほとん…