【駒城合戦】 〈第1次駒城攻撃が始まる〉 北畠親房の常陸南朝方と高師冬の北朝方の合戦は、暦応2年(1339)10月23日、師冬率いる北朝鎌倉勢による駒城への攻撃で幕を開けた。矢部定藤という武士の軍忠状によると北朝勢は合戦前日の10月22日、鬼怒川並木渡に布陣し 、翌23日には折立渡(現結城市上山川)から川を越え駒城へ攻め寄せている。山川館城主山川景重も参戦しているので山川に滞在していた経之もこの初戦に参加したと思われるが、胎内文書には直接その旨に触れた記述はない。この日より連日いくさ続きで手紙をしたためる余裕もなかったのだろう。この22日の合戦では敵(南朝勢)を追い散らしつつ、付近の民家を焼き…