「第五十六回公判調書(供述)」 証人=遠藤 三(かつ)・七十歳 * 裁判長=「控訴審で証人として出られたのはいつ頃か覚えていますか」 証人=「四、五年前だと思います」 裁判長=「何年何月頃という記憶は」 証人=「ありません」 裁判長=「春、夏秋冬は」 証人=「それもないです」 裁判長=「前に調べられた時に述べたことは、大体どんなことを聞かれ、どう答えたか覚えていますか」 証人=「はっきりしたことは覚えていませんが、いわゆる図面の関係を聞かれたと思います」 裁判長=「そのとき自分が述べたことは、記憶のまま、何事も隠さず何事も付け加えないで正直に述べたと思っていますか、それとも後で考えてみて、あそ…