🌸涙雨 🌸 🎼 music by ミルアージュ 西の対へも行かずに終日物思いをして源氏は暮らした。 旅人になった御息所は まして堪えがたい悲しみを 味わっていたことであろう。 院の御病気は十月にはいってから御重体になった。 この君をお惜しみしていないものはない。 帝も御心配のあまりに行幸あそばされた。 御衰弱あそばされた院は東宮のことを 返す返す帝へお頼みになった。 次いで源氏に及んだ。 「私が生きていた時と同じように 大事も小事も彼を御相談相手になさい。 年は若くても国家の政治をとるのに 十分資格が備わっていると私は認める。 一国を支配する骨相を持っている人です。 だから私は彼がその点で 逆…