第5話「東下り 小野小町 / 貫之と喜撰 喜撰法師」 大半を占める「東下り 小野小町」について。 文屋康秀と在原業平との関係の中での小野小町が描かれている。 三河の国への赴任が決まった康秀は小町にその旨を伝える文を送ったのだが、冗談めかして、一緒に三河に田舎見物にでも行かないかと誘う言葉を添えた(この作品では、実は康秀は小町が一緒に行って欲しいと心から願っていたように描かれている)。 この誘いに対して小町は次のような和歌を返した。 わびぬれば 身を浮草の 根を絶えて 誘う水あらば 往なむとぞ思う(落ちぶれてゆくあてもない私だから お誘いがあれば誰にでも付いて行きますよ) 当時、後宮を離れ一人静…