奇癖といえば、鈴木三重吉を外せない。 この漱石門下の文学者、児童雑誌『赤い鳥』の主宰人に関しては、最初の方でわずかに触れた。そう、欧州大戦勃発時、「愉快な戦争」なるドギツイ題の稿をしたため、 ――私は世界的の大戦争になって来たのがわけもなく愉快でたまりません。 ――政府も観戦将校と共に観戦文学者を欧州に送るといゝですね。東洋に戦争が波及したら、少なくとも日本の軍艦へはひとりづゝ文学者を乗せて戦争を見せるといゝと思ひます。平生だって時々招待して乗せて歩くといゝと思ひます。いろいろの意味で国家とわれわれと双方に効果があるんですがね。 ――日本も早くどこかとやらないかな。そして軍艦へだけは乗せないか…