「桃太郎の敵」とされる温羅(うら)は、吉備津神話において大国主命(おおくにぬしのみこと)の子であった可能性も語られています。彼は本当に「ただの鬼」だったのでしょうか?私自身も子どもの頃に吉備津神社で「鳴釜神事(なりがましんじ)」を見学したことがありますが、温羅がこの神事や神話の中心にいることを知ったのは大人になってからです。彼が持つ神話的な背景を掘り下げることで、温羅が単なる悪役ではないことが浮かび上がります。 吉備地方の立ち位置:神話と歴史が交差する古代の中枢 古代日本において、吉備地方は大和朝廷に次ぐ政治・経済の中心地でした。吉備津神話に登場する大国主命は、この地方を守る神とされ、その子で…