『海と空』の結末は、すでに記したような悲惨な東京大空襲で終わった。主人公は焼け跡に立ち、ひとりつぶやく。「戦争をするつもりなら、するだけの準備が必要だった。戦争をしないつもりなら、しないだけの心掛けが必要であった。するだけの準備もなく、しないだけの心掛けもなく、ただ勢いと感情に引きずられて漠然と始めたこの戦争。こうなる結果に不思議はない」 ただしこんなオチをつけてある。「グスグスッと激しい地震に著者の夢は覚めた」(猪瀬直樹『黒船の世紀(下) あの頃、アメリカは仮想敵国だった』中公文庫、2011) おはようございます。上記の「戦争」を、20日後に迫った「オリンピック」に置き換えてみると「オリンピ…