元禄5年6月15日。深夜になって綿屋市三郎僕が自害する。原因は、市三郎僕に旧名三之丞の源八という者で仲間の女と永らく密通していた。この年、この女が妊娠してしまった。市三郎の妾がこれを聞きつけて嫌悪し罵った。それに動揺し、夜も更けてから源八は女と共に市三郎の裏へと出て行った。側の木に仏名をかけ、数珠を添えて抹香を焚いた。その後互いに身を正して源八がまず女を刺し殺し、その後静かに自らの喉を突いて女の死骸に重なって死んでしまう。源八は22歳、女は38歳、容貌は良くなかったと云々。