地上波の番組表から「2時間サスペンス」という巨大なレギュラー枠が完全に姿を消して久しい。かつて平日の夜、お茶の間に「安心という名の予定調和」を供給し続けたあのシステムは、なぜこれほどまでに急速に淘汰されてしまったのか。 単なる「若者のテレビ離れ」や「娯楽の多様化」という凡庸な言葉で片付けるのは容易だ。しかし、その裏側を冷徹に構造分解していくと、そこにはテレビ局、広告スポンサー、そして視聴者という各プレイヤーが「それぞれの合理性」に基づいて動いた結果、一つの美しい生態系が自滅へと向かった、極めて教科書通りの商業的バグ(機能不全)が見えてくる。 第1章:ビジネスモデルのバグ ――「コア視聴率」とい…