30代の恋愛

あれから、あの子は私をずっと見てる。 そして私もあの子を見ている。 近くに寄ることはない。携帯で連絡することもない。 でもあの子は私を探している。私もいつもあの子を探している。 同級生や教員がいるときは私たちは近づかない。 でも二人の時はたどたどしい会話を楽しむ。 彼はイチャイチャすることは好まない。 だから、会話も５分くらいが関の山。それが新鮮で、軽やかで、素敵に感じられた。 放課後、珍しく彼が学校にきた。 「先生に会いに来たよ。うそ。忘れ物を取りに来たよ」 にっこりと笑うあの子は、何よりもキラキラしていた。 こんな純粋な気持ち、いつから忘れていた？ ただただ、あの子を思うだけの時間。いつか…

部活動の最中。 お調子者の浩二が私のところにやって来て、 「僕とダブルス組んで、智と謙信とゲームしましょうよ」と行って来た。 嘘でしょ。相手はうちのエースじゃん。無理やん。 空振りしたらカッコ悪いし、何より体力が持たない。 浩二は私の肩を掴んでコートに連れて行こうとした。 「無理無理」 私は抵抗したが、中３の男の子でもこんなに力が強いのか。 「浩二。俺と組もう！」 あの子だ。 彼はコートの中でラケットを振り回し、笑顔で言った。 「え？俺、先生と組みたい」浩二は私の肩を抱いて言った。 え・・・？一瞬、あの子の目が鋭くなった・・・ように見えた。 もう一度見ると笑顔だった。気のせいか。 「俺とやろ！…