目が覚めると、身体全体が渇いている心地がした。熱はなかった。左腕の痛みもほとんど引いていた。静かだった。世界中から、潮が引くように音が消えてしまったようだった。ただただ乾いた気配が、僕の周りを覆っていた。 耳を澄ましてみる。案の定、何の声も聞こえてこなかった。どうやら僕は、一パーセントの人間のようだ。 “カミサマ”の声が聞こえるようになる、という触れ込みの注射を僕が打ったのは二日前だった。それが完成した当初、効果の怪しさと副反応の強さから、摂取を希望する人はほとんどいなかった。ところが実際に摂取をし、カミサマの声が聞こえるようになった人たちの幸せそうな様子がテレビに流れ出すと、次第に我も我もと…