前回の記事ではCRISPRの役割について説明した。 bl21.hatenablog.com CRISPRの話をする上で避けては通れないのがCasタンパク質である。前回は意図的に具体的な話をしなかったが、今回の記事はCasをメインに説明したい。 前回の記事で説明した通り、CRISPR-Casは外部の脅威=可動性遺伝因子(MGE)に対する防御システムである。そしてCRISPRは過去に遭遇したMGEのデータベースと説明した。データベースだけあってもMGEを無効化するシステムがなければ実際に原核生物の細胞をMGEから守ることはできない。その役割、すなわちCRISPRに保存されたデータと、細胞内に侵入を…