前作に引き続き本人が全面的に担当したシンプルな打ち込みが大半を占めるアルバムではあるが、重たい空気に支配されていた前作に対して驚くほどに軽やかな雰囲気になっており、1曲目のタイトル「Fight The Blues」に顕著に現れている。前作以降、離婚を経て吹っ切れたようで、ここ数作あったトピックがないというか、トピックがないことがトピックかのような感じ。ここ数作あったような不思議な雰囲気も捨てがたいものがあるが、人間そんなずっと喜んだり悲しんだりというのはないわけで、言ってしまえば「普通の宇多田ヒカル」が楽しめるアルバムとなっている。 アルバムとしての流れもかなり秀逸で、ほとんどシングル曲で埋め…