「科学立国の危機」(豊田長康著、東洋経済新報社)で、元三重大学学長でもある著者が再三主張していることは「国立大学の選択と集中は間違っている」です。 著者は三重大学学長の在職中に、この政策が発表された時、わざわざ緊急記者会見まで開いて批判しました。なぜなら、日本は欧米諸国や韓国と比べても、論文数が東大や京大などに一部大学に偏っており、それ以外の大学になると論文数が極端に少なく、既に「選択と集中」は行われているからです。この論文数の低下は研究力の低下、イノベーション力の低下に直結しており、イノベーション力の低下は経済の低下に直結しています。だから、大学の選択と集中は、国民全体にとって悪影響なので、…