老親を訪ねる際、関越自動車道の渋滞を回避するために、午前中に都内の美術館に寄ることが多い。今回は山種美術館の特別展「癒やしの日本美術 ー ほのぼの若冲・なごみの土牛 ー」を観る。 自分にとっては、当初の期待以上によい展覧会であった。何といっても心がほっこりと和む。伊藤若冲や長沢芦雪といった、どちらかというと奇想の画家として知られる人たちの「ゆるかわ」作品が展示されている。 たとえば子犬への愛があふれる長沢芦雪《菊花子犬図》。 長沢芦雪《菊花子犬図》18世紀(江戸時代) そして伊藤若冲の描くユーモラスな布袋さんをはじめ、少し肩の力が抜けた、しかし確かな技術に裏打ちされた作品が並ぶ。 上村松園《杜…